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「私は雪哉を1年の頃から知ってるから、あなたが雪哉を避けてる理由もなんとなくだけどわかるわ。」
いちこさんは深いため息をつく。
私の頭の中では、今日保健室で会長に言われた言葉が回っていた。
千裕はやめろって、会長はそう言ったけど。
私の中では危険なのはむしろ会長のほうで、千裕に惹かれてる私からしたら、反感を持ってしまう言葉だった。
「幸せに、なってね。」
いちこさんはそう言って切なく笑った。
会長の言葉も
いちこさんの言葉も
この時の私は深く考えてなくて。
もっとちゃんと考えてれば……なんて、後悔するのは、もう少し先の話……。
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「そろそろ帰ろうかしら」
しばらくみんなで話していると、千裕は立ち上がった。
「そうね、私も」
そしていちこさんも立ち上がる。
「千裕は早く帰れ」
兄ちゃんの言葉に、千裕と私は苦笑い。
「今のうちに認めてもらわねぇと…」
「え?」
ボソッと呟いた千裕に聞くと、彼は「ううん、なんでもない」と笑った。
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