3
「ど、どうって何も……!」
「今もデートしてきたのよ、ね?」
「……っ」
千裕の優しい微笑みに、またドキドキする。
「へぇ……」
いちこさんのニヤニヤ顔も恥ずかしくて……
その時。
「おい、千裕!お前手伝え!」
キッチンから兄ちゃんの声が聞こえた。
「しょうがないなぁ。まひるが火傷したらダメだもんね。行ってくるわ」
そう言って、私の頭を撫でると千裕はキッチンに向かった。
「や、火傷なんかしーひんもん!」
素直じゃない私は、千裕の背中に向かってそう叫んで……
ぷしゅー、って空気が抜けるみたいにテーブルに手をついた。
「あーんな甘い顔の千裕、初めて見た」
いちこさんはそう言って微笑んだ。
「そんなに照れてるまひるちゃんもね。」
「う〜……」
私の顔はまた真っ赤になった。
「千裕が好き?」
いちこさんの問に、私はゆっくりと、でも自信を持って頷いた。
「そう。だけどね、まひるちゃん」
いちこさんの声が変わる。
私をまっすぐ見るいちこさんの目には、ハッキリと心配の色が見えた。
「雪哉も、悪い人じゃないのよ」
会、長……?
*
[*前へ][次へ#]
[小説ナビ|小説大賞]
無料HPエムペ!