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「いや、あのな、いちこ。お前のことは嫌いじゃない。むしろその逆っていうか……だけどな、それではあかんねん!」
「なんで……」
「俺は、まひるを守ったらなあかんねん」
「そんなことわかってる!だけど私たち両思いなんでしょ?なら……」
「ごめん、いちこ。俺はまひるを愛したらなあかんねん」
なぁ、兄ちゃん。
なんでそんな私のこと気にしてるん?
なぁ……
「どういうこと?」
「両親が信じられんようになっても、俺だけは信じられるように……俺は、まひるのことを両親の分まで愛したらなあかんねん。『あのこと』を知った時、俺はそう決めたんや。」
「『あのこと』って……?」
「まひるは……、あいつは、俺の両親の子どもじゃないんや」
………っ!
う、嘘……
私はギュッと柳瀬千裕の手を握った。
すると、柳瀬千裕は私の手を引いて自分の両手で私を包んだ。
私は、兄ちゃんの妹やないってこと……?
「だから、お前とは……」
「千裕?!」
「いちこちゃんにバレた」
柳瀬千裕が私の耳元で囁いた。
「まひる?!」
兄ちゃんにも気づかれたみたい……
私は、柳瀬千裕の胸をトンと押すと、走り出した。
「まひる!」
誰かに呼ばれた、気がしたけど何も考えられなかった……
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