11
「あの2人なら俺が探すからお前らは先に……」
「ちょっとー、雪哉ちゃん。邪魔するの?あたしたちデート中なのっ」
私たちは、会長の横を通り過ぎた。
「ねぇ、柳瀬千裕、いいん?会長…」
「あら、あなた雪哉ちゃんが気になるの?」
「いや、そうじゃなくて、あの……」
立ち尽くす会長に、なんか罪悪感……
「いいのよ、あれくらいじゃへこたれないから。あの人」
私は柳瀬千裕と手を繋いだまま、中庭を出た。
「あぁ、あのこたちどこ行っちゃったのかしら…」
校舎の中に入って、空き教室を探しても見つからんくて。
ほんまに、兄ちゃんどこ行った……
と、その時。
近くの空き教室から、瑞穂ちゃんが出てきた。
「あら、瑞穂?」
「あ、ちぃくん!」
瑞穂ちゃんの目が柳瀬千裕を見て輝き、その後徐々に私に移ってきた。
そして繋がれた手を見る。
「あっ……」
私は急いで柳瀬千裕の手を離した。
柳瀬千裕は不思議そうに私を見てたけど、それよりも瑞穂ちゃんの目のほうが怖かった。
「ちぃくん、こんなところで何してるの?」
「ちょっと人捜しよ。」
「そう。あ、まひるちゃん生徒会に入ったんでしょ?ちぃくんをよろしくね」
笑顔で言ってるけど、なんか違う。
柳瀬千裕と話してる時とは、雰囲気が……
*
[*前へ][次へ#]
[小説ナビ|小説大賞]
無料HPエムペ!