10
「さぁ、そろそろ戻ろうかしら?」
柳瀬千裕の手を思わずギュッと握ってしまった。
ビックリしてる柳瀬千裕。
ビックリしてる私。
え?え?
なんで握ってんの、私?!
「もうちょっとここにいましょうか。暖かいしね…」
柳瀬千裕は私の手をギュッと握り返した。
なんで、私手握ったん?
自分が意味わからん……!
まだ帰りたくないって思ったのは事実。
会長いるし、それに……
『それに』って何?!
一人で混乱していると
「おい」
って声が聞こえた。
この声、知ってる。
「あら、なぁに?雪哉ちゃん。今まひるの百面相見て楽しんでたのに」
今の混乱、全部柳瀬千裕に見られてたんか!
恥ずかしーっ!
「2人でお楽しみのところ悪いが、そろそろ戻れ。仕事が残ってる。」
「将行ちゃんといちこちゃんは戻ったの?」
「いや、まだ……」
「じゃぁ、2人を探して一緒に戻るわ。」
そう言って、柳瀬千裕は私の手を引いて立ち上がった。
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