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「ありがと」


柳瀬千裕からココアを受け取ると、暖かさが染み渡る。


「はぁ……」


一つため息をつくと、隣の柳瀬千裕を見てみる。


ほんまに、憎たらしいほどいい男……


「あら、どうかした?」


その口調さえなかったらな。


「柳瀬千裕は、なんでそんな口調なん?」


「んー?なんでだろうね。気づいたらこうなってたのよ」


「男の人が好きなん?」


「まさか。あたしは女の子が大好きよ」


「ふーん、なんか不思議」


そう?と微笑む柳瀬千裕は、すっごくカッコいいのに。


「柳瀬千裕はモテる?」


「あーら、気になるの?」


グッと顔を近づけてくる柳瀬千裕。


か、顔だけはカッコいいんやからあんた……


「ふふふ、顔真っ赤。」


「う、うっさい!」


私がそう言って、柳瀬千裕の肩を押すと、柳瀬千裕は意外と簡単に離れた。


「初めはモテるわ。だけど、この話し方を聞くと、みんな引いていくの」


柳瀬千裕は一口コーヒーを飲んだ。


コクリ、と喉が動く。


「直そうって、思わへんの?」


「うん。だって直す意味ないじゃない。」


柳瀬千裕の私を見る瞳は、なぜか暖かかった。



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