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「お兄様がお見えよ?」


……なんか、周りの人がみんな教室の入り口のほう見てると思った。


「ありがとう」

結子ちゃんにそう言うと、私は席を立った。



そして、兄ちゃんの前に立つと、兄ちゃんは泣きそうな顔で謝ってきた。


「ごめん、まひる!」


「いや、別にいいけど……」


実は昨日、兄ちゃんは家に帰ってこなかった。


みんなでオールして遊んでんのかなぁって思って、気にもしてなかったんやけど。



「いちこちゃんとお泊まり?」


「え……?」


私のすぐ後ろで柳瀬千裕の声が聞こえたかと思うと、兄ちゃんが真っ青になった。


「ど、どういうこと?!」


柳瀬千裕に詰め寄ると、彼はニヤッと笑った。


「昨日ね、酔った将行ちゃんを、いちこちゃんが送って行ったのよ。それで家に帰らなかったってことは……ね?」


なぁるほどー……


私と柳瀬千裕は、真っ青になっている兄ちゃんをニヤニヤしながら見た。


すると兄ちゃんは顔を上げて



「余計なこと言うな、千裕」


そう言って去って行った。


「将行ちゃん、何か怒ってた…?」


「うん、私もそう思った……」


怒るようなこと、あったかな?



*

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あきゅろす。
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