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……え?
何ですか、この状況。
「キスする時は目を閉じるもんだ」
唇を離して、そう言う会長に疑問。
いや、そういうことの前にいろいろあるやん?
なんで私は会長にキスされたんか、とかさぁ!!
「まぁ、いい。俺の女になれ。わかったか?」
……はい?
呆れたように言う会長が意味わからん。
誰が?
誰の女になるって?
「俺が飽きるまではお前に構ってやる」
「ふ、ふ……」
「ふ?」
「ふざけんなハゲー!!」
私はそう言うと、携帯を奪って走り出した。
なんや、あの男!!
誰が好き好んであんな男の女になるか!!
その時、柳瀬千裕の言葉が蘇った。
『会長にはあまり近づかないほうがいいわよ?』
こ、こういうことか!
ぎゃー、それにしてもあの男ムカつく!
走っていたのがいつの間にか、猛獣のように足音をダンダン言わせて歩いていた。
「あいつの足音うるせぇな。それに俺、ハゲてねぇ」
そんな独り言を言っている会長を、振り返ることなんて全くせずに。
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