12
「いちこ、余計なこと言うな」
「はーい、ごめんなさーい」
冷たい印象の会長やったけど、この時は少し顔が赤くて、ちょっと親近感。
「僕は一年の森田聡です。主に雑用押し付けられてます」
「当たり前だ」
すかさずそう言った会長を、私の左腕を掴んでいた森田くんは不満そうに見た。
「あたしは二年の柳瀬千裕っ。確かまひるちゃんと……」
「あああ、あんたが柳瀬千裕?!」
「そうよん」
「同じクラスの?!」
「あら、知ってたの?」
ここ、こんなセクハラ男が同じクラスなんて……!!
しかも、なぜかオカマ口調やし!
「よろしくね、まひるちゃん」
うふふー。じゃないわ、変態男!
「で、後は将行だけなんだけど。将行のことはよく知ってるわよね?」
「えぇ、そりゃもう……」
小さい頃からずっとあの変な男に振り回されてたからな……
「あっ。もうすぐ始業式始まるわよ」
柳瀬千裕がそう言うと、みんなの目が一斉に時計を見た。
「じゃぁ、細かいことはまた後で。まずは体育館だ」
「ほーい」
待って……
今気付いたけど、私なんでここにいるんやろ?
「まひるちゃん、何してるの?体育館行くわよ?」
立ち尽くしている私に、柳瀬千裕が声をかけた。
き、きっと、迷子になってたのがたまたま生徒会役員の妹やったから、ってだけやんな?!
うん、きっとそうや!
私は一人でそう思い込んで、柳瀬千裕のところへ向かった。
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