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「なかなか見つからなくて」
「まぁ、いい。将行は体育館か?」
「そうよ。……ねぇ、自己紹介しなくていいの?」
「……しておいたほうが、いいか」
美形に囲まれてポケーッてしてた私に、美女が近づいてきた。
「まひるちゃん、私は渡部いちこ。副会長してます。よろしくね」
ニコッと微笑む彼女は、今まで見た誰よりも綺麗………って、
「渡部、いちこさん……?」
「あら、私を知ってるの?」
「兄ちゃんの、彼女?」
私がそう言った途端、ボボボって真っ赤になる彼女。
「それ、将行が?」
「いえ、周りの人が騒いでました」
「そう……」
明らかに落胆した様子の彼女。
「兄ちゃんのこと好きなんですか?」
私がそう言った途端、またボボボっと顔が赤くなる。
「エヘヘ、片想いだけどね」
そう言った彼女は健気で儚くて。
こんな人を好きにならない兄ちゃんは正真正銘のバカだと思った。
「こっちは、生徒会長の西園寺雪哉。」
そう言って、いちこさんは黒髪の男性を指した。
「……よろしく」
「よろしくお願いします」
私がそう言うと、彼はパッと目を逸らした。
「フフフ、大丈夫。まひるちゃんが来るの一番楽しみにしてたの、実は雪哉だから」
「え……」
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