10
両腕を、男前二人に捕まれて失神寸前……じゃなくて!
「どこ行くの?!」
「んー、ちょっとねぇ」
「おとなしくついてきてくださいね」
両端の男たちはニヤニヤ嫌な笑いを浮かべたまま。
抵抗しても、男二人の力に勝てるわけもなく。
「はぁぁぁ……」
私は抵抗をやめて、おとなしくついていくことにした。
そしてしばらく歩いた後
「ついたわよ」
見上げるとそこには
『生徒会室』の文字。
ななななな!
なぜ私が生徒会室に連れてこられてるわけ?!
「ちょ、ちょっと待って!」
私の抵抗もむなしく、ガラッと扉が開かれた。
そこには
同じ資料に目を通す一組の男女の姿。
黒髪で、眼鏡の奥の切れ長の目が印象的な男性と
ウェーブした髪に大きな瞳、柔らかい印象の女性
美しすぎて、思わず感嘆のため息が出そうなほど……
「会長。水野まひる、連れてきました」
左腕を持っていた彼がそう言うと、二人の視線が一気に私に向けられる。
「………っ」
カッと顔が赤くなる私。
「……遅かったな」
『会長』と呼ばれた彼が声を発すると、少し鳥肌が立った。
容姿が綺麗やと、声も綺麗になるもんなんかな?
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