14
私と千裕は、反射的に離れる。
リビングに戻ってきた兄ちゃんは、私と千裕の変な雰囲気にも気づかずに
「すいか食おー」
って、すでに切られたすいかをテーブルの上に置いた。
はぁ、兄ちゃんが鈍感でよかった……
「俺の目の前でキスなんかさせんからな」
……………。
すっかり縮こまってしまった私と千裕をよそに、兄ちゃんはすいかを食べ始める。
「うんめー!まひる、早く食べ!……千裕も食べていいぞ」
後半は、声が低すぎてあまり何言ってるかわからんかったけど
ちゃんと、お皿が3枚あったから私と千裕は目を合わせて微笑んだ。
「あ、ほんまやおいしー!」
口の中に広がる味は甘い。
ふと、隣から視線を感じて見ると
千裕が私をジッと見ていた。
「ん?」
「んーん、可愛いなって思って」
赤くなった私を見て、千裕は幸せそうに笑った。
そんな甘甘な雰囲気の私たちに、兄ちゃんが割り込んでくる。
「あ、そういやまひる」
軽い口調やったから、そんなに気にしてなかったのに
次の兄ちゃんの言葉に、私は固まる。
「今日、直哉見た。アイツ東京来てんの?」
へっ……
「な、直哉?!」
嵐は静かに
近づいてくる……
*
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