[携帯モード] [URL送信]
10


「おー、まひる。おかえり。寒くなかったか?」


いやいや、兄ちゃん


今夏やし。


むしろ、夕方やのになんでこんな暑いの!ってキレそうになるぐらいやし。


「電話したら兄ちゃん迎えに行ったのに」


「ううん……送ってくれたし!」


そこでやっと、兄ちゃんが私の後ろにいる千裕に目を向けた。


……だけど、それは一瞬で。


「今日の晩ご飯はお前の好きなシチューやからな」


確かに好きやけど、こんな真夏にシチュー?!


て、それは今はどうでもいい。


千裕をチラリと見ると、兄ちゃんの華麗なスルー攻撃に唖然としていた。



「せ、せっかく送ってくれたのに、そんな態度あかんよ!」


私が声を張ると、やっと兄ちゃんの動きが止まった。


……そして。


「入れ」


低い声で、千裕に向かって言う。


よかった!!


私は安堵して千裕を見る。


千裕も、嬉しそうに笑ってた。


*

[*前へ][次へ#]

あきゅろす。
[小説ナビ|小説大賞]
無料HPエムペ!