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「まひるは、何も悪くないじゃない」
「……っ」
「ごめんなさいね、あたしも焦りすぎたわ。あたし、いつまでも待つから。ゆっくり、ね」
そう言って、千裕は優しく笑った。
本当に、本当に優しく。
「一緒に、頑張りましょう。まひる」
千裕はたぶん、まだ瑞穂ちゃんのことから立ち直れてないと思う。
小さい頃から、守ってきた人に騙されてたってすごくショックなことやもん。
たぶん私が、兄ちゃんに裏切られるみたいな感じじゃないかな。
それを、千裕は乗り越えようとしてて。
『一緒に、頑張ろう』って。
私に言ってくれた。
それって、千裕のそばにいていい…ってことやんな?
「まひる」
「ん?」
「将行さんにもちゃんと、認めてもらおうな」
そう言った千裕の横顔は、すごく真剣で。
あ、あかん……
この人は、何回私をキュン死にさせる気や……!
「まひる?」
「……!は、はい!」
「俺と付き合ってるって、将行さんに言った?」
「い、言ってへんけど……、たぶん知ってる」
「なんで?」
「たまに私をもの凄く悲しそうな目で見てくるから」
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