7
千裕は、身動き一つしなくて。
「ち、千裕……」
やっぱり嫌やったかな?
こんな話しても、私が千裕を拒否したのは事実やから。
「ほんまに、ご「ソイツ、許さないわ」
「は……?」
い、今なんて……?
「その幼なじみの男、許せない!あたしのまひるを傷つけるなんてっ」
は、はい……?
顔を上げた千裕の目には、今度は怒りが浮かんでいた。
「まひる、その男あたしが懲らしめてやるわっ」
そう言って立ち上がった千裕を、必死で止める。
「い、いや千裕っ。もう兄ちゃんが散々懲らしめたからっ」
それはそれは、恐ろしい方法で。
「あたしだって……っ」
「もう和解してるし。ね?」
私のあまりの必死さに、千裕は一瞬私を見てソファーに座る。
「……そうね。まぁ、今は忘れることにするわ」
今は?
その言葉がちょっと気になったけど、あえてスルーすることにした。
「あ、あの。千裕、ごめんな?」
そう言うと、千裕はキョトンとした顔で私を見た。
「なんで謝るの?」
「だ、だって……」
口ごもる私の頭を、千裕はフッと笑って撫でてくれた。
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