6
「……っ」
どうしよう、怖いっ
千裕の指が、私の背中を撫でて
私は自分の中の恐怖に
……屈してしまった。
「いや……っ!」
ドンって千裕の胸を押した。
必然的に、千裕のカラダが私から離れる。
千裕は呆気に取られてたみたいやけど、私が震えてるのに気付いたのか
「ご、ごめんまひる……っ」
私の頬に触れようとして、手を引っ込める。
やだ、私
千裕のこと、傷つけた……!
「千裕、ごめんっ」
急いで起き上がり、千裕を抱きしめる。
「俺に触られんの、いやだった?」
千裕の声は、弱々しくて。
私は必死で首を横に振った。
「ち、ちがっ…!そうじゃなくて…」
そういう風に誤解されたくない。
私はフーッと、息を吐いた。
……そして。
「昔、幼なじみに襲われたん」
「……っ」
瑞穂ちゃんのこともあるし、千裕には辛い話かも。
やけど、千裕には知っておいてほしい。
「だけど、兄ちゃんが助けてくれたから大丈夫やったんよ。抑えつけられたから怖かったけど」
「………」
「その時のこと、思い出しちゃって……。ほんまにごめん。やけど、千裕に触れられたくないわけじゃない。これは、ほんまやから」
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