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ハルノヒザシ

「んじゃ、申し訳ないけど俺行くね!!」
教室に来るなり鞄を引っ付かんだ俺は、みんなに軽く手を振った。
「おー大変だな図書委員は。いってらっしゃーい」
今日は図書委員会の活動日。
とっくに開始時間は過ぎているため、なるべく俺は急いで図書室に向かう。
図書委員長である望月先輩には昼休みに怖々事前に説明をしにいって許しは得ているものの、ちんたら行くのは気が引けるというより怖い。
(今日は進路相談室のパンフの整理作業だっけ?)
完全に特別校舎の雑用係りと化している図書委員。委員長の望月先輩はさぞ大変だろう。
「すみません。遅れましたっ!!」
とりあえず図書室に寄ろうと、図書室の扉を開けるとカウンターに座っている望月先輩と目が合った。
(ああそう言えば今日はカウンター当番も被ってたんだっけ…)
ぺこり、と会釈して図書室に一歩入ると、望月先輩はくいっと自分の方を顎で指した。
「おう。来たか。替われ前田。俺ちょっと見回ってくるから」
「はい、わかりました」
こくん、と頷いて俺が望月先輩と替わると、先輩は図書室を出ていった。
(神田君は中かな?)
ちらり、とカウンター奥の倉庫に目を向けると中から微かに足音が聞こえてきた。 どうやら中にいるみたいだ。カウンターを空けるのは怖いから席は立てないけど。
(あ、新書来てるや)
ラミネート作業が終わって積まれている新着本。望月先輩がシールとポケットをつける作業中だったらしく、道具がきちんと並べられておいてある。
(うわー相変わらず仕事早いな)
多分望月先輩が今日終わらせた仕事の量を横目で見つつ、俺も黙々と作業を開始した。


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