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ハルノヒザシ

「ちょっと、何してるのよ二人で」
「あ、夏。どこ行ってたの?」
「ちょっとね」
弥生ちゃんの部屋に行く途中、玄関前を通るとちょうど夏が帰ってきたところだった。
「今から弥生ちゃんの部屋に行くとこなんだ」
「じゃ、俺も行く」
夏が即答すると、ええ!!いやよ、と弥生ちゃんも即答した。
「夏月みたいなむさ苦しいの、部屋に入れたくない!!」
「なんだと!!兄貴はいいのかよ!!」
「春日はむさ苦しくないもん!!料理できて優しくてあんたとは大違い!!」
行こう、春日と弥生ちゃんは俺の手を引いて足早に歩き出した。
「てめっ!!兄貴を部屋に連れ込んでなにする気だ!!どさくさに手なんか繋ぎやかって」
ちょっと言われたくらいで諦めるはずのない夏がすぐさま追いかけてくる。
「夏…やめなよムキになるの」
相手は小学生の女の子だよ。
「そ、そそうよ!!春日に何もするわけないでしょ」
「てめ何どもってんだ!!やっぱなんか企んでたな!!これだから女は…」
「違うったら!!春日の前でそんなこと言わないで!!」
と思わず弥生ちゃんが金切り声をあげた瞬間

「静かにしないか」

襖の奥から鋭い声がした。
しまった。ここは…お爺さんの部屋の近く…。
「…あっ…」
俺の手を握りしめた弥生ちゃんの小さな手は、かたかたと震えはじめていた。


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あきゅろす。
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