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ハルノヒザシ
GOK
またまた次の日。
劇のリハーサルに集まった我がクラスのメンバーは皆一様に固まっていた。
その視線の先には…
僕らのクラスのお姫さま。
今日は眼鏡をかけてアイメイクは薄めにしたので、これでも昨日よりは破壊力がないと、俺は思う。まず、無表情だし。
「え…ちょっとなにこれ…」
「やばい。俺の心臓張り裂けそう…」
「……美、人過ぎ。女よりよっぽど…」
「なんでそんな、ドレス似合うの?」
皆三好に釘付けになり、目を潤ませながら、うわ言のように口々に称賛の言葉を呟いた。
三好は一つも嬉しくなさそうだけど。
だよね…。そうなるよね…。よかった俺だけじゃなくて。
昨日も見ているせいか 、みんなよりも三好の常人離れした魅力に抗える俺は、みんなの様子を見ながら、ほっと胸を撫で下ろす。
「はいはいはい、リハーサルはじめんぞ!!」
しばらくして、文化祭実行委員が手を叩きながら、みんなに声をかけた。
三好のお陰で、いや三好は何にも悪くないけど、思いきり開始時刻をオーバーしてしまっているので、みんなはっとしたようにいそいそと動き出す。
「はい、三好これ」
ドレスの上から、更にボロい衣装を着せられ、サングラスをさせられ、三角巾を被さられた三好に、俺は箒を渡した。
こくん、と微かに頭を揺らし、三好は一人舞台中央へと歩いていく。

<むかーし、むかしあるところにシンデレラという美しい娘がおりました…>

リハーサルで幕は開いてないし、まだ大道具は揃ってないしで、劇って感じはまだ余り出てはいないけど。
舞台袖で見ている限り、三好は言うほど大根じゃなく無表情ながらきちんと台本通りに動いていた。ちゃんと台本暗記していたみたいだし。
「いい感じやな」
「うん」
あの無表情なとこがまたなんとも言えない、と舞台袖で二条と思わずそんな会話をしてしまう。
(そろそろ出番だ)
王子様役の俺は女装陣を際立たせるために思いっきり制服姿のまま。ブレザーを羽織って、頭に三好に使わなかったティアラだけ差して。俺は三好の逆サイドから舞台に出ていく。

『美しいお嬢さん、お相手を』

ダンスシーンの時に思いきり三好の足を踏んでしまった以外はつつがなく俺達はリハーサルを終ることができたのだった。



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