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ハルノヒザシ
2・(夏月視点)
「あんたは行かないの?」
キャッキャッとはしゃぐ兄貴たちを縁側からぼんやり眺めていた俺に、横から声がかかる。
「別にーガキの遊びに興味ないね」
「夏月だってガキじゃん。図体でかいばかりで」
「うるせーな。お前より三つも年上だ」
「三つだけじゃん」
生意気な顔で俺を見下ろしているのは、従兄弟の弥生。 睦実と睦実の姉だ。
こないだ来たときは兄貴の前で誰よりもはしゃいでたくせに、いつの間にか大人ぶるようになりやがって。
何ませた髪型してんだ。
さっき兄貴が結んでやっていた、弥生の髪の毛を見ながら俺は思う。
「それにしても。あちーなー。弥生。アイス取ってこいよ」
「やだ。自分で取ってきなよ」
「俺は客だぞ。持ってこい。ソーダな」
「ちっ。やなやつ」
捨て台詞を吐いて弥生が奥に引っ込んで行く。
「夏、助けてー」
ごろり、と横になっていると庭の方から俺を呼ぶ声。
起き上がってそっちを見ると、兄貴が双子にくっつかれプールに沈められていた。
いや…弱すぎでしょ兄貴。相手二人といえど七歳なんだけど…。
「あ、やべー夏大魔人がくるぞ!!」
「迎撃用意だ!!睦美!!」
兄貴の腹にのってはしゃいでいた双子が呆れながら起きたがった俺を指差して、水鉄砲をこちらに向けた。
飛んでくる水飛沫をなんなく俺は避けながら、俺は兄貴たちに近付く。
「当たってあげなよ夏ー」
首と肩だけを出して、服を着たままプールに沈められている兄貴。 でもその言い方は正しくなくて、ただ双子を身体にのせてくつろいでいるだけって感じだ。
俺と昔、お風呂に入っていた時のように。
「…助けてほしーんじゃないの」
「二人が夏とも遊んで欲しいってさ」
じろり、と双子を見ると伺うような上目使いでこっちをみている。
「しょうがないなー」
俺はガキも女も別に好きじゃないんだけど。
兄貴がそういうんなら
「少しだけだぞっ!!」
と俺は睦美をつかんで空にぶん投げた。

「きゃはははははは!」
水滴を撒き散らしながら、睦美が宙を舞う。
「夏っちゃん次僕ー!」
「夏月お兄様と呼べ」
「なによ結局混ざってるじゃない」
食べないのーアイス!
後ろから弥生の声がした。


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