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ハルノヒザシ

夏は毎年この日。俺に抱きつきながら感謝を述べる。
「俺が生きているのは兄貴のおかげなんだ」と…。火傷を負ってまで、俺を救ってくれたからだと。
どうにも反抗的だった去年も、それだけは欠かさずに言ってくれた。
俺に抱きついてた小さな夏が、いつのまにか大きくなって。
今は抱きつくというより抱き締められてるって感じだ。
夏の広い胸に。
夏に小さい頃から抱きつかれまくって過ごしたせいだろうか。俺は男のクセに抱き締められるのが好きだ。
心地いいから。
「兄貴は、絶対、気持ち悪くなんかないから」
昨日のことを気にしているのか、夏が小さな声で言う。
大丈夫だよ。夏。俺本当に気にしてないから。いいんだよって言ってもらえたから。
俺は回された夏の腕をゆっくり握りしめてみる。
「あにき…にいちゃん…にー…」
囁くように、確かめるように、俺を今まで呼んでいた呼び名で呼ぶ夏。
俺をこの世界でそう呼んでくれるのは一人だけ。
俺の家族は…夏だけ。
夏に抱き締められると、切なくなる。
この世に二人だけになってしまったような気がした日のことを思い出すから。
夏はずっと俺と一緒に居てくれた。
夏がいたから、どんなに俺は救われたことだろう。
俺は一人ぼっちじゃなかったんだ。
甘えん坊でワガママで喧嘩ばっかりして、猫かぶりの悪がきだけど。
がんばりやさんの努力家で、優しくて、便りになって、俺のことが大好きで。
そんな君がいつだって愛しい。
俺はもっともっと昔から、君に救われつづけてるよ。夏。
ぐるり、と身体を反転させ俺からも夏に手を伸ばす。
「…ずっと…一緒にいてくれて…ありがとう…」
きっとこれからも夏と支えあって生きていく。ずっとずっと。俺の大切な家族と…。

今でも大好きな父さん。
ずっと見守っていて。


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あきゅろす。
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