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ハルノヒザシ
相見ゆ
日はお馴染み図書委員会活動日。
今日はカウンターで貸出業務を行っている。
大分返却本が溜まってきたので、俺は隣にいた神田君にカウンターを頼んで、本を戻しに行くことにした。
ここの図書室は広くて、2階まであるので、だいたい本の位置を覚えてきたとは言え、重い本を持ってうろうろするのは重労働だ。
あちこちに点在している返却場所を探し当て、ふうふう言いながら図書館中を本籠を下げながら歩き回り、最後に三好が返していった、古めかしい昔の外国の推理小説を2階の隅の書棚に戻しに行く。
(……98、98……、あっちか。三好もよくこんなとこから探してきたな)
2階の本棚は難しい本が多く、人もまばらで。
図書館内なので静かに歩きながら、俺はようやくお目当ての場所を見つけ出す。
(ついでに2階のゴミ箱見てこよ)
もうそろそろ閉館時間も近く、またわざわざ見に来るのは面倒なので、俺はついでに鍵とゴミ箱を確認しながら、2階を一周し始める。
自習する人も帰ったらしくほとんど人の気配がない、2階図書室。
最後に、一番奥に設置されている長椅子の読書スペースを見ると、誰かが寝っ転がっていた。
時々こうやって寝ている人はいるが、長椅子に寝っ転がるのは禁止なので、上級生だったら嫌だなあと思いつつ、注意しに近づいていく。
「すみません、もうそろそろ閉館ですよ」
近づいてみると、上履きの色が俺と同じだったので、よかった同学年だとほっとしながら、俺は遠慮がちにこちらに背を向けている人の肩をゆする。そんなに熟睡はしていなかったみたいで、その人はすぐにゆっくりと半分身体を起こした。
「あ…、ごめん、なさい…、気分、悪くなっちゃって……」
確かにその人の顔色はすごく悪くって。どうやら熱もあるみたいだった。立ち上がるとかなりふらついているので、俺は慌てて支えた。
「大丈夫ですか?」
「ちょっと、まだ、まずい、かも…」
「ここ寒いですから。保健室、行きましょう」
「ありがとう…」
その人の左腕を俺の肩に回して支え、俺たちはゆっくりと歩き始める。
「ごめん。ちょっと保健室行ってくるね」
「大丈夫ですか?」
「うん。大丈夫。戻ってくるから。望月先輩に伝えといてくれる?」
カウンターにいた神田君に事情を伝え、俺とその人は図書室を後にした。


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あきゅろす。
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