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ハルノヒザシ

「止めろ、馬鹿野郎!」
「へー、随分元気になったじゃん」
グッと壁に押さえつけられ身動きが取れないが、俺は精一杯衞士を睨む。
「覚えてないの?俺が抵抗されればされるほど燃えるの?」
衞士の言葉にピタリと俺は抵抗を止めた。
思い出したくもない記憶が次々と蘇る。
コイツは…異常だ。
人を傷つける事を
人を痛めつける事を
人を貶める事を
純粋に楽しむ。
「まだ俺が付けた痕、ある?」
衞士が俺の手を掴み無理矢理表に返させる。
そこにあるのはいくつもの煙草を押し付けられた痕。
「大分薄くなってんじゃん?また付け直さないとね」
そういいながら衞士は俺の手のひらに口付ける。
そのまま舌を出し舐めたかと思うと、いかなり思い切り噛み付いて来た。
「…っつ…」
つぅっと血が流れるのがわかる。
反射的に振り払おうとしたが全然無理だ。
ピチャっと音をたてながら俺の血を衞士は舐めとる。
コイツ、嫌だ…。
その時、チャイムが鳴りだしたのが聞こえる。
五時間めが始まった。
「離せ、教室戻らないと…」
「放すと思ってんの?馬鹿だなー。春日ちゃんは」
これからが楽しいんじゃん、そう言いながら衞士は俺のシャツに手を伸ばす。
「背中の跡も見せてよ。見たい」 「嫌だ、止めろっ、離せ」
うるせぇよ、と腹を一発殴られ俺は咳き込みながらズルズルとしゃがみ込む。

「俺、春日ちゃんの背中の痕、すっげー好きなんだよね」
滅茶苦茶興奮するから、という衞士の声が
俺の中に絶望的に響いた。

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あきゅろす。
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