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ハルノヒザシ
好かれ体質
土曜日。
今日で今週も終わる。
新しい環境にもすっかり慣れた。

そして、土曜日はいつもと違って授業が短い。
俺は空いた時間を使って行きたい場所があった。
「クッキー?」
何時ものように音もなく三好が後ろに立ちながら言う。
うん、結構慣れたよ。
「うん。ジンジャークッキー。食べる?んな、甘くねぇよ?」
焼きあがったクッキーを一つ差し出しながら言う。
甘さは控えめにしたつもりだ。
「あ、美味い。何かスパイシーだな」
「ジンジャークッキーですから。生姜が入ってんだよ」
三好が食べるんだったら幾つか部屋にとっておこうと思い焼きあがったクッキーをザラザラと皿にあけた。
残りはタッパーに二つに分けて詰め込む。
何回か焼いたからなー。結構数が出来た。
「それ勝手にどうぞ。それでは行ってきまーす」
「ハイ、どうも。行ってらっしゃい」
クッキーを入れた紙袋を下げ、三好に送られながら部屋を出る。
まぁクッキー渡すだけだし、とっとと帰って来ると思うけど。
そんなことを思いながらトコトコと階段を降りた。

「えっいいんですか?」
まず始めに向かった先は寮の管理人。黒滝さんだ。
「焼いたんでー、良かったらどうぞ。いつもお世話になっているお礼です」
事務室前の扉を叩き、出てきた黒滝さんにタッパーを渡しながら言う。
「うわぁー、本当に嬉しいです。有り難く頂戴しますね。前田君」
何時もの優しげな笑顔を更にほころばせながら黒滝さんはクッキーを受け取ってくれた。
「喜んで貰えて嬉しいです。ではお仕事頑張って下さい」
ペコリと礼をしながら黒滝さんと別れ、俺はもう一つの目的地へと向かうため寮を出た。

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あきゅろす。
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