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ハルノヒザシ

日が落ちた。
室内が暗い。
どれくらい時間が過ぎたのか
涙はすっかり枯れていた。
「三好、腹減らない?」
抱き合ったままの三好に聞く。
「あぁ、減った」
「んじゃ、用意するよ」
立ち上がろうとするが三好は俺を放そうとしない。
ますます腕に力をこめる。
「三好…?飯いらないの?」
「…いる…」
「んじゃ、放して。俺、もう平気だから」
ようやく三好の腕が緩めらた。
身体を離し視線を合わせる。
スッと俺の頬に手を伸ばす。
「前田。俺、お前が好きだよ」
会って一週間ちょいしかたっていないけど。
「いつもニコニコしてて、優しいお前が好きだよ」
勿論、友達としてだけど。
「ごめんな、前田」
傷を開いたなら舐めるから
俺の前で脅えないで。
わがままだけど、俺の。
好きだよ、前田。

「三好…」
これ以上無いってくらい真剣な眼で俺を見る三好。
「俺の方こそありがとう」
俺は過去を清算できた。
もちろん綺麗にとはいかないけど
三好がいたからなんだよ。

「俺も好きだよ。三好。大好き」

俺はニコリと微笑む。
三好はフッと笑う。

俺は立ち上がり、顔を洗った後、夕飯の用意を始めた。

秘密はいつかバレるもの。
良かった。
俺はもう一人でかかえこまなくていい。

その夜俺達は何時もより少しだけ長く話した。

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