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ハルノヒザシ

頭の中ではわかってる。
俺は悪くないってことは
俺ではどうしよもできなかったてことが

わかってる。六年前からわかってる。

あの日は母さんが帰って来てて
俺と夏は居間で寝ていた。
気が付いたら体が熱くて
回りが赤かった。
パニックになって泣き叫ぶ夏を
抱きしめて
父さんの元へ行こうと思ったけど火が回っててどうしても近づけなかった。
ゆっくりと柱が倒れて来て
身体がいきなり熱くてなった。
足音がしたと思うと
消防士達が飛び込んで来た。
抱き抱えられて最後に見たモノは閉まったままの父さんの部屋。
気が付いたように暴れたが
俺が放して貰えることはなかった。

俺は父さんを助けたかった 。
誰よりも俺達を愛してくれた父さんを。

だけど助けることなんてできなかった。
許してもらえる事もない。

次から次へと涙が溢れる。

俺は…俺は
この跡を罰だと思ってる。
父さんを助けられなかった罰だと。
自分だけ逃げた罰だと。

違いますか…、違いますか?

俺は現に今生きてる。

明日も俺は生きてる。
背中の罪もそのままに…


三好の体温が温かい。

俺は悪くない。
もういい、もういい、もういい。
そのまま俺は泣き続けた。
静かに、動かずに。

背負った、十字架を、
ゆっくりと下ろすように 。


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