ハルノヒザシ
4
突然目の前で服を脱ぎだした三好を俺は唖然として見つめた。
その間にも三好は次々とボタンを外し、スッとシャツを脱いだ。
その途端俺はびっくりして息をのむ。
骨みたいな俺とは違い、健康的にに筋肉がついた三好の身体。
部活やって無いのにパリっと引き締まっている。
だか、その右腕には…。
刺青が彫ってあった。
胸の方まで被う大きなもの。
しかしそれだけならまだいいが、上から刃物でめちゃくちゃに切り刻まれている。
まるで、消し去りたいかのようにぐちゃぐちゃに…。
切傷で歪む刺青が一層いかめしい。
何だ、これ?
自分でやったの?三好
「気持ち悪いだろ?」
自分を嫌悪し、軽蔑するような三好の乾いた声。
「俺がやったんだ。全部」
顔を上げると三好と目が合う。
「馬鹿だよな、俺」
笑う口元に、笑ってない瞳。
三好…、三好…?
もう一度三好がフワリと抱きしめてきた。
徐々に背中に回された腕がTシャツの中に滑りこんで来る。
「前田?お前は気持ち悪くなんかねぇよ」
耳元で三好が囁くように繰り返した。
スーッと三好の指先が背中をなぞるのを感じる。
「前田?お前は悪くなんかねぇよ?」
三好の声が掠れる。
「前田?お前はもういいんだよ」
ツーッと涙が頬をつたうのがわかった。
父さん、あなたは僕を許してくれますか?
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