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ハルノヒザシ

「うーん。どういう靴が滑らないの?」
「底がゴツめの奴。これとかこーいうのとこか。前田足のサイズいくつ」
「24.5」
「マジか。レディースも入るじゃん」
「サイズなくて大変なんだよね…」
ご飯を食べ終わって、後半戦。午後ははぐれると帰れなくなる可能性があるので一緒に行動することにして。俺と三好は靴屋を訪れていた。
こういうのは?と何を選んでいいのかわからない俺の為に三好が周りに何足か靴を並べてくれる。
「後は普通にブーツ履いているやつもいるけど」
「俺そんなオシャレアイテム使いこなせないよ」
これがいいなと思うと、サイズがなかったり。取り寄せだったり。やっぱりレディースに手を出すしかないのか、と俺が試し履きしながらため息をついているとまた三好が靴を持って俺の元にやってきた。しょげてる俺の横にかがんで、もってきた靴を置く。
「ほら。これいんじゃね」
「ありがと。あ、ピッタリ。サイズあったんだ」
「うん。まあレディースだけど」
レディースなんかい!と思ったが、やっぱ三好が持ってくるだけあってシンプルな、でもしっかりした造りをした靴で。よく考えたら三好が一人でレディースの棚のところで選んできてくれたのかと思うと、頭が下がる思いだった。微妙に可愛い感じもするが。水色の靴ひもだし。でも、気に入った。これが、履きたい。
「俺。これにする」
「そうか。決まってよかったな」
「うん、ありがとう。これで転ばずに済むよ」
防ぎきれない場合もあると思うけどな、と三好に言われながら、お会計を済ませて、外に出た。
さてと、次は夏の服買わないと、とすぐ近くの若い子で賑わうセレクトショップに入ることにする。
「弟君の好みの色は?いつも青、黒着ているイメージだけど」
「まさにその通りだよ。というか俺が青と黒ばっかり買っちゃうんだよね。赤とか鮮やかな色も似合うんだけど、夏が着ると何か周囲を威嚇しているようになるんだよ、不思議…」
「ひでぇ言い様だな。なんかわかるけど」
とりあえず二人で店内を歩き回り、これだ!と思ったものを持ち寄ることにする。
「これ、どう?思い切り定番だけど」
「あ、いいかも」
三好が持ってきた、ダークグレーのスウェットトレーナー。定番と言われれば定番だけど、俺だと多分選ばない滲み出るセンスの差。
俺はというと妙なプリントのTシャツを見つけ、これはかわいいとにやついていたが、冷静に三好に「弟君には似合わない」と言われ大人しく棚に戻した。後数枚、制服の中に着れて重ね着出来そうな服をチョイスして、店を後にする。
「三好はいいの?」
「俺は一応少し買ったんだ。午前中。あ、下着買うんだろ。店あるぜ」
三好の指さす方向には、パンツ売り場があって。
夏にそろそろ俺の趣味の妙な柄のパンツではなく、まともな柄のパンツを買ってやらねば!と息まいていた俺は張り切って店の中に入ったのであった。


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あきゅろす。
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