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ハルノヒザシ
3・(三好視点)
前田の顔色が真っ白だ。
俺が今見てしまったモノに余程重大なトラウマを抱えているらしい。

前田の背中をを斜めに縦断する、火傷の跡。

かなり古い傷みたいだか、くっきりと白い肌はそこだけ変色し、その傷を浮かびあがらせている。
消えることは、無いだろう。
俺は早めに帰って来た自分を責めた。
何で今日に限って…。 馬鹿だな、俺は。最高にタイミングが悪い。
思い返せば前田と過ごして一週間ちょい。
コイツは一度たりとも俺の前で着替えなかったし、大浴場にも行かなかった。
気にも止めていなかったけど…

俺も同じだから

「前田、ごめんな。俺…」
クローゼットの前にかがみこんだままの前田の前に同じように身を屈めながら俺は言う。
その声にハッと気付いたように顔を上げる前田。
白い顔のまま気にしてないような笑みを無理矢理浮かべる姿を見るのは心が痛い。
「いや、気にしてないよ。三好何も悪くないし。俺の方こそキモいもん見せて悪かったな」
へへっと笑いながら話す前田。
止めろ、強がるのは。
止めろ、遠慮するのは。
前田のジャージを握る手が震えている。
「気持ち悪くなんかねぇよ。前田、ホントすまん」
俺はそう言いながら前田の細い身体を抱きしめた。
びくりと一瞬前田は身体を震わせるが、そのまま大人しくしている。
俺はしばらく前田を無言で抱きしめた後、身体を離しおもむろに自分の服を脱ぎ始めた。
俺にも跡がある。
この学校の奴には誰にも見せなかった跡が。
自分の意思だけでつけた醜い跡。
シャツのボタンを全て外し終わりその跡を前田に晒す。

前田、お前は醜くなんかない。
俺の方がずっとずっと醜い。

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