ハルノヒザシ
2
(見られ…た…)
もう既に遅い事はわかっているが、俺はバッと振り返り三好から自分の背中を隠す。
それにしてもいつの間に帰って来たんだ三好、全然気がつかなかった。
物音たてないのはしっているけど…。
三好を見ると物凄いバツが悪そうな顔をしている。
いや、三好は悪くないんだけどさ。
「あの、悪い…、見るつもりなかったんだけど…。とりあえず服着ろよ」
三好の言葉に俺はこっくり頷き素早く手に持っていたTシャツを着た。
俺の背中には昔付いた火傷。
何年たっても絶対消えない跡がついている。
あまり他人には見せたくない。気持ち悪いし、何より昔を思い出す。
だからどんなに妙に思われても俺はけして他人に背中を見せない。
俺の最大のトラウマがここにはあるから。
六年前の夏、父さんが死んだあの日を…。
燃え上がる炎
凄まじい熱気
父さんがいた部屋の扉
夏の鳴き声
倒れて来た柱
消防士の腕
泣きわめいた俺
久しぶりに記憶がフラッシュバックしてきた。
忘れられやしない、俺の記憶が…
目の前が…真っ白に、変わって、いく…
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