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ハルノヒザシ

俺がそれから部屋に戻ると、先に三好が帰って来ていた。
「ただいま」
「…おかえり」
三好の手元には、まとめられた服と教科書。俺は彼の意思を知る。それ以上何も言わずに、いつものように手を洗ってエプロンを締めた。
「前田、俺、しばらくあいつのとこ行く。衛士がいなくて今一人だし」
「そう」
「アイツ、俺の元ルームメイトなんだ」
「そうなんだ」
「ここ最近ずっとアイツといた」
「そっか」
「本当は大人しい奴なんだ。アイツをあんなにしちまったのは俺だから」
「…」
「落ち着くまで一緒にいてやりたい」
「うん。わかったよ」
三好は鞄を持って立ちあがる。
「じゃあ…」
「待って。ちょっとだけ」
部屋を出ようとしていた三好が振り返る。
「これ、簡単だけど。おにぎり…。よかったら藤堂君と食べて」
「ありが、とう…」
俺の差し出したタッパーを受け取りながら、三好が少しだけ声をつまらせた。

君がやりたいことが、あるなら。俺は君を微笑んで見送ることにする。

ただ……

「待ってるね……」
それだけ、言ってしまった。

三好はちょっと、つらそうな顔で俺を見て。
掠れた声で、「うん」とだけ言った。

ドアがストッパーをきかせながら、ゆっくりと閉まり、三好の足音が途切れる。
俺は静かな部屋に戻って。
簡単な夕食を作って一人で食べた。



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あきゅろす。
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