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ハルノヒザシ

「あの、先輩?」
「何?」
あんまり聞きたく無いことだが、俺は聞いておきたいことがあった。
匂宮先輩の事だ。
パッタリ姿を見せないのはやっぱり望月先輩のおかげなのだろう。
一言お礼が言いたい。
例え、望月先輩が匂宮先輩の話題を嫌うとしても。
「あの、匂宮先輩のこと何ですけど…」
「あぁ、匂宮?それが?」
軽い調子で望月先輩が聞き返す。
「この頃、あまり見かけないので、匂宮先輩には失礼ですけどぶっちゃけ助かってまして…。それで、あの…」
「あぁ、その事か、失礼とか気にするな、悪いのはアイツ何だから」
「やっぱり望月先輩から何か言ってくれたのかな?と思いまして…、そうだったら本当にありがとうございます。この間から重ね重ね迷惑かけてすいません」
先を歩く望月先輩に向かって俺はペコリと頭を下げた。
望月先輩には迷惑ばかりかけている気がする。
「そんな事でわざわざお礼?律義な奴だな前田は」
先輩が笑いを含んだ声で言う。
そんな事ではない。情けない事だが、俺は真剣に怖かったのだから。
顔を上げると望月先輩が灯りに照らされて笑っているのが目に入った。
「ほら、つったってないで早く歩け」
「あっすいません」
パタパタと先輩の横に並ぶ。
「匂宮は俺と同室だしな。しめるくらい何でもない。まぁ、しめたというか…。でも俺アイツ嫌いだし。一石二鳥!」
「そうなんですか…」
知らなかった。んじゃ前先輩が言ってた色々人をつれこむ同室者って匂宮先輩の事だったんだ。
「前田は可愛い後輩だしな。また困ったことがあったら言って来い。んじゃ、お休み。ご苦労だったな」
「ありがとうごさいます。それではお休みなさい」
笑って手を降りながら階段を上がって行く先輩に、俺も笑いながら手を降り見送った。

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あきゅろす。
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