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ハルノヒザシ

「た、助かりました……。お二人が来てくれなかったら俺…」
「居残り保健体育しないですんでよかったねー」
「良かった良かった。偶然さ、桃が冷えピタ欲しいとか言いだすから。桃冷えピタはもらえたの?」
「もらえたー」
保健室の一件後。俺たち5人は教室へと連れだって歩いていた。
四天王のうちの3人までがそろい踏み。豪華なメンバーだなあ、なんて神田君と一緒に後輩の俺たちは少し緊張してしまう。
「ありがとな。光、鉄平。おかげで前田が助かった」
「いいってー。怖かったねー、春日君ー。思いっきり固まってたもんねー」
「前田、まだ固まる癖治ってないのか?逃げろって言ったろーが。尻撫でられてる場合じゃねーぞ!」
「すみません…」
まさかいつだか望月先輩に指摘されたことが全然克服できないのがこの場でばれると思っていない俺は、ますます小さくなって頭を下げる。
「あ、あの!連れて行った人は大丈夫だったんですか?」
「あ、うん…。疲れて熱が出ちゃったみたい。徳永先輩が薬飲ませてくれてた」
あんまりに小さくなる俺をみかねたのか神田君が横から助け舟を出してくれる。ありがとう神田君。俺と違ってなんて機転がきくんだ。
「俺あの子知ってるー。藤堂くんでしょー」
「あー、アイツ休学してなかったか?戻ってきたんだな」
「藤堂君なら背高いし、大丈夫だね」
どうやらあの子を知っている先輩たち。とうどう君って言うのか…。休学してたから見かけなかったのかな。あれ、そういえばA組に転校生くるとか言ってなかったけ?転校生だからまた別の話しか。
今度出会ったらまた、話しかけてみようかな。でも、なんか傷だらけだったな。ケンカ…とかでついたのかな。でも、無視するのも嫌だしな。
そんなことを考えているとあっという間に三年生の教室についてしまう。
「前田に神田。今日飯どうすんだ。俺たちこれから鞄取って食堂行くけど」
「行きます」「僕も行きますー」
三好に連絡を入れてみたが、返信がなく、多分寝てるんだろうなと思った俺は、その後合流した凛先輩を加えて、四天王の先輩方と神田君と夕食を食堂でおごってもらったのだった。



その出会いが、これからの生活を大きく動すとになるとは、知らないまま。



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