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ハルノヒザシ

「よし、全部あるな」
望月先輩がリストを確認しながら言う。
やったー、終わったよー。
「前田ももうサボるなよ。毎週水曜日だからな」
「ハイ、すいませんでした」
わかればよろしい、と望月先輩はニヤッと笑う。
この笑顔は次あったらこんなもんじゃ済まさねぇぞ、と言う笑みだ。 うん、きっと。
「んじゃ、閉めるぞー」
スタスタと先輩が階段を降りて行くのに俺は続いた。
うぅ、やっぱ歩くのが早い。
図書室を出ると先程のように廊下は真っ暗。
いや、図書室の明かりを消したので更にか…。
非常口の灯りと食堂の灯りが向こうの方に見える。
うん、あれに向かって歩けばいいんだな。
スタスタと歩く先輩の後をそろそろと追う。
「遅ーよ。何してんだ」
曲がり角をやっとまがり食堂の灯りにほっとしていると、待っていたらしい先輩から声がかかる。
「いや、俺鳥目で…」
俺が説明しはじめると先輩はちらっと時計に目をやった。
き、聞いてねー。
「7時40分か…、まだ平気だよな。来い、前田、腹減ってんだろ。おごってやる」
「えっ、いいんですか」
「ああ、急げ、食堂が閉まる」
とっとと食堂に入って行く先輩の後に続く。

思わぬラッキーだ。
やっぱり望月先輩は優しい。

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