ハルノヒザシ 3 ケースの中に匂宮先輩から受け取った針を戻して、やれやれ、一安心。 ほっと息をついていると、近づいてきた匂宮先輩が脇に置いてあった俺の荷物の中を覗き込んでいた。 「なにこれ。お前やっぱりそーゆー趣味あったのかよ」 荷物の中に入っていた薔薇の花のコサージュを見ながら、うわ、ドン引き、みたいな表情をする匂宮先輩。 「ち、違います!!それは文化祭で使う小道具です」 「ふーん。お前実は部屋ではこんなんつけて喜んでんのかと思った。女々しいからやりそう」 「誤解ですったら…」 やりそう…って俺そんな感じに見えてるのか。ショック…。 俺が大分へこんでいると、匂宮先輩はじろり、と俺の方を見た。 「お前が作ったのか?これ」 「はい…。そんな感じです…」 「へぇ。ボタンとかつけれんの?」 「一応…」 「まじかよ。こりゃいいわ。つけてよ、ボタン。取れちまって着れねーんだよ」 「はい。もちろん。いいですよ」 じゃあ後で部屋に行きますねーと俺はとりあえずその場で匂宮先輩と別れた。 職員室にいって早く鍵を返して三好の様子を見に行かないと。 俺はぱたぱたと暗くなった廊下を懲りずに一人駆け抜けた。 [*前へ][次へ#] [戻る] |