ハルノヒザシ
５
始めて入る店は楽しい。
やっぱだいたいの店なんて同じ構造しているもんだけど、始めて入る店の店内をじっくり時間をかけて回るのが好きだ。
「三好って何か嫌いなものある？」
「いや、特には。甘いものはあんま食べないけど」
カートを押しながら歩く俺の横を三好がキョロキョロしながら付いてくる。
始めてこんな所入ったらしい。まるで天然記念物だ。
「今日明日だったら色々持つよなー。卵も買いだめしておかないと」
カラカラとカートを押しながら俺はポンポン商品を籠に入れる。
いや！無計画に入れてる訳じゃねぇよ！俺はちゃんと一週間分の献立考えてながら入れてるんだからな！
「今日何にする？久しぶりに肉食おうよ、焼肉とかハンバーグとか？ 」
「んーいいな、ハンバーグ。学食に無いからな。もう何年も食ってないや」
「了解ー。他にも何かリクエストがあれば遠慮なくどうぞ」
そう言いながら俺はなるべくグラム数が少ない肉を手に取る。
けして、ケチってる訳じゃなくて玉ねぎがたっぷり入った方がうまいんだよ！
「なぁ前田の得意料理って何？俺それが食べたい」
両手に持った肉を真剣な表情で見比べていた俺の肩を三好が叩く。
んー何だろ、俺の得意料理って。何でも作るからな。
もうお菓子作りなんてプロ並だよ！
「うーん。カレーかな？」
俺はカレーにカレールーを使わないで作るため、何となく変わっているかなと思いそう口にする。
夏もカレー好きだし。
「マジで！今週とは言わないから是非お願いします」
三好がいきなり顔を輝かせる。
カレーとラーメンが好きなのかな？コイツ。
「じゃあ明日作るよ！」
んじゃカレーにはヨーグルトだなと思いカートを移動する。
「ちょっ、俺これ押してみたい」
カートを移動していると三好が好奇心に負けたように言う。
こんなもんが珍しいのかな、三好は…。
仕方なくカートを三好に押させ俺は先を歩く事にした。
おっと忘れてた、綿棒や歯磨き粉買いだめしとこう！ 何だか今日安い気がする！
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