[携帯モード] [URL送信]

ハルノヒザシ

「おーこれいいじゃん。前田に似合う」
「お前、ふざけてんの。コレ女物だよね。さすがに入らないよ」
三好が服を見だしてから既に一時間。俺は完璧な三好の玩具になっていた。
とっかえひっかえ色々な格好をさせられ着替える時の筋肉痛がやばい。
俺も服買おうかなと思っていたら三好が選びたいと言ったから頷いたのに。何でこんな事になってるんだ?
「冗談、冗談。うん、前田細いからやっぱシンプルな方が似合うと思うよ。これなんかどう?」
さすがに飽きてきたのか真面目に三好が俺に服を差し出す。
あっいいなこの色。
「うん、いい。これにする」
「そう、じゃあ行こうぜ」
実はとっくのとうに自分の服はちゃんと選んでいた三好はやっとレジに向かう。
いやいや俺なんか服いつも適当に買うからな。こんなじっくり?見たのは始めてかもしんねぇ、と思いつつ俺もレジに向かう。
でも何かうれしいなと乙女な思考をしてしまう俺だった。
さぁ次は本屋だと思い本屋に向かうと俺は入店二時間後、完璧に三好をなめていたことを思い知っていた。
とにかく動かない。全然動かない。
学校には無い新書が入っていると最初は無邪気に喜んでいたものの読み始めると一変全て読みきる勢いで読破して行く。
本が荷物になるので買えない俺は周りをうろうろして料理雑誌などを眺めていたのだがそろそろそれも限界。
仕方なく三好を急かしにいったのだが聞く耳持たず。
すげー集中力だ…。
「もうそろそろ昼だしな」
三好の横に並びながら書店の時計を見ながら思う。ラーメン俺も食べたい。
ぼーっとしているとパタンと本を閉じる音。
「目が疲れた。さすがに三冊も読むとな…」
「あー三好。そろそろ行こうぜ。ラーメン食べるんだろ?」
三冊も読んでいたのかというツッコミはこの際後にして俺はこの機会を逃すまいと三好の腕を引く。
「おう、つーかもうこんな時間?びっくりー。ちょい待ち、買ってくるから」
買ってくるからと言いつつ何も持たずにレジに向かう三好。何事か店員と喋っている。
「お待たせ、行こうぜ」
結局何も持たないで書店を出る三好。えっえっ立ち読み?でもレジに行ってたしな。
「何買ったの?」
「えっさっき俺が読んでたシリーズ全部と〇〇の最新刊と前から読みたいと思ってた△△の本全部。寮に送ってもらう」
えっ棚買い?それとも大人買い?
それにしても始めてそんな本の買い方する人見たよ。金持ちなのかな?コイツ。
はーい次はラーメンだーとはしゃぐ三好を俺は思わず疑問の目つきで追った。

[*前へ][次へ#]

3/81ページ

[戻る]


あきゅろす。
[小説ナビ|小説大賞]
無料HPエムペ!