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ハルノヒザシ

「あーアレだ」
三好の声に顔を上げるとやっとバスが来たようだ。
実に十五分遅れ、山の向こうでは雪でも降っているんだろうか?
バスが停止し、目の前でドアが開く。
俺達の他に乗る人は居ない。みんな大して町になんか下りないそうだ。
「わー貸切みてぇ」
一番後ろの席に陣取り俺が窓側に座ると三好が後に続く。
それにしても人が居ない。採算とれるんだろうか?このバスは
「おー眠い」
「寝れば、よっかかっていいよ」
バスで揺られて五分もしないうちに三好がふわぁと欠伸をしながら目をこする。
三好は早起き出来るが後からツケが回ってくるタイプだと思いながら三好に言うと、コテンと三好が寄りかかって来た。
つーか寝るの早い!
(ちょっと前はこのバスに乗って夏とこの学校に来たんだっけな)
窓の外を眺めながらそう思う。
ずーっと続く山道に年甲斐も無く不安になった。
俺達は何処にいくつもりなのだろう、と。
(今見れば自然が多い、のどかな所だなと思うくらいなんだけどね)
最初は嫌でしょうがなかった転校もなんだかんだで数日で慣れて来てしまっている。
(いい人ばっかりだしね!)
俺は傍らで寝ている三好の顔をちょっと見下ろしながら微笑んだ。
毎日が何だかんだで楽しい。
昨日のせいでもの凄い筋肉痛だけど…
一時間ぼーっと窓の外を見ているとバスが下りなければいけないバス停を知らせた。
俺は急いで三好をたたき起こしバスを降りる。
この間は駅から乗ったが、今降りた場所は町の中心から少し外れた所にあるショッピングセンターの前。ここから少し歩くらしい。
なんで田舎のショッピングセンターは町の中心部には無いんだろうな?
「あーあよく寝た。よっしゃー今日は久しぶりに上手いラーメンを食うぞ!」
んーと三好が横で伸びをしながら、よくわからない宣言をしている。
そうか、ラーメン食いにきたのか。食堂のラーメンは不味いって行ってたしな。
「ラーメン美味しい所あるの?」
「いや、わかんね。つーかまだバスまで時間があるだろ。俺本と服見たいんだけど」
わかんねってこれぞ三好クオリティ。
「うん。別にいいよ。バス来るの三時だもんな」
一応三好は町の構造を知っているらしくスタスタと歩いて行く。
まぁ中学の時からいるらしいし、何回か来た事があるのだろう。

そのまま付いて行くと服屋に着く。

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