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ハルノヒザシ

「いやーすごかったなー、ダンク。俺生で初めて見た」
そろそろ、夏の試合が始まる時間なので、剣道場へ向かうことにした俺達。
三好はさっきのシュートが相当心に残ったらしく、歩きながらしきりにスゴいスゴいとと繰り返し続ける。
スポーツするのは嫌いでも、見るのはなんだかんだで楽しいらしい。
「ほんと、すごかったね。早乙女くん。あれでなんだか空気が変わったもん」
「ん?前田アイツ知ってんのか」
「うん。あの子が夏と同室の子。早乙女貢くん」
「へえ、そんな名前の作家いたな。確か」
ふーん、アイツが弟君と同室かぁ、二人してスポーツマンだな。二人して帰宅部な俺達とは正反対だ。
「あはは、全くだね」
とそんなことを話しながら歩いていると見えてくる高校の剣道場。
道場には入ってはいけないらしく、見物人達は窓から覗いているみたいだ。

「どれどれ、あ、いた!」
「本当だ」
そんな見物人達に混ざりながら剣道場を除くと、これまたすぐに見つかる夏の姿。
みんな、紺色の胴着を着ている中に一人だけ上下黒い胴着を着ている夏の姿は、明るい中ちょっと目を凝らせばすぐにわかるのだ。
俺が間違って買ってしまった黒い胴着。間違って買っちゃったけど、よく夏に似合ってる。
(夏、また背が伸びたな)
また、胴着買わないと…。
大きめのを買った筈なのに、既に丈が短くなってきているのを見て、なんだか嬉しくなってしまう。
「ん?何か上下白い奴がいるな。教…名前読めねーけど」
感慨に浸っていた俺の隣で、興味深そうに剣道場を覗いていた三好がある人物を軽く指差した。
三好の視線の先には夏と話す、白い胴着姿の少年。
名前は…、教良木?
ああ、もしかして…
「多分、あの子が中学の大将の子だよ。名前は、確かきょうらぎくんだったかな?」
「きょうらぎ、ねぇ。へぇ、アイツが大将か。例の弟君より強いっていう」
弟君は上下黒だし、モノクロコンビだな、と三好はボソッと呟いた。



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