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ハルノヒザシ

「あらまーずいぶん離されてんなー」
横で三好が呟く声に、スコアボードに目を移すと、確かに高校生が大差で勝っているみたいだった。
うーん、これは、高校生と中学生の体格差も技術差もあるだろうけど、一番の原因は…
「中学の奴等、将軍怖がっちゃってるもんなー」
それに尽きると思う。
観客の目から見てもそれがわかるくらいあからさまに中学生達は望月先輩を怖がって、当たりにいってない。完全に高校生チームに気圧されている状態だ。
「最後なんだらガンガン行けばいいのに。ま、確かに将軍おっかねーからしゃーねーのかな」
「確かに…でも、相手は望月先輩だもんな…」
(本当ーにおっかないんだから…)
いつだったか神田君とふざけて、望月先輩に詰め寄られたことを思い出す。
委員会であんなに怖いんだったら、部活ではどんだけ怖いんだろう。
考えただけでも恐ろしい…
「あ、また点入るぜ」
思わずそんなことを考えていると、横からまた三好の声。
コートに視線を戻せば、望月先輩にボールが渡り、ちょうど先輩が走り出した所だとた。
望月先輩を止める人は、中学生チームには居ない。
また、点差が開くな、と誰もが思ったその時
今まさにシュートする為にジャンプした望月先輩の前に、飛びかかるように飛ぶ一人の影が現れた。
望月先輩の手から、一瞬の隙をついて、ぶんどるようにボールを奪ったその影は、着地と同時に身を翻し、トリブルをしながら唖然としている人はをすり抜け、あっというまに反対側のコートへとかけ戻り、その勢いのまま、高く飛び上がると

直にボールをゴールに叩きこんだ。

まさに一瞬の出来事。
劣勢だった中学生チームのウルトラファインプレー。
全く将軍を恐れることのない、堂々としたプレー。
一瞬あまりのことに静まり返った体育館内が、次の瞬間大歓声に包まれる。



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あきゅろす。
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