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ハルノヒザシ

「む、なかなかこのコーヒー美味いな」
食事が終わって、ずっとコーヒーの広告を眺めていた三好。
そんなに気になるなら飲んでみれば、と言うと、うーん薄かったら嫌だしなとかなんとか最初は渋っていたが、結局買いに行ったのだ。
冷房が効いた中、ズーズーと暖かいコーヒーを幸せそうに飲む三好は、何だか見ていて和む。
「暑い中涼しいとこで熱いものを飲むって、冬に炬燵でアイス食べるようなもんだよね」
「地球に優しくない贅沢だな」
と、どうでも良いことを話しているとあっという間に時間は過ぎて行ってしまう。
「あ、そろそろ眼鏡出来る時間なんじゃない?」
「んーもうそんな時間か」
じゃ、行くか、と左手でトレイを持ち上げ、立ち上がる三好。
「あ、やるよ」
さりげなくそんな三好からトレイを奪い、自分のトレイと重ねると俺も立ち上がった。
手早く、片付けをすまし、先に店を出ていた三好の後を追う。
「まーた、よく喋るあの店員が居たらちょっと嫌だな」
「そーお?綺麗な人だったじゃん」
「知らん。俺、見えねーもん」
「そう言えばそうだったね」
「それに俺は年上は趣味じゃないわ」
「ええ、何それー?三好年下好きなの」
知らなかったーとケラケラ笑いながら、俺達は眼鏡屋へと歩いて行く。

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あきゅろす。
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