[携帯モード] [URL送信]

ハルノヒザシ

それから十数分後。
「あ、じゃこれにします」
「かしこまりました。では目の検査をいたしますのでこちらへどうぞ」
眼鏡を決めた三好が、満面の笑みの女性店員に店の奥に連れていかれるねを見送った俺は、眼鏡を買わない自分がここで店内に居るのも変かなと考え、店を出て一番近いベンチに腰をかけていた。
何人もの人々が俺の前をただ通り過ぎて行く。

そして、10分後。
「ふぅー、やっと解放されたよ」
あの店員苦手だ、と呟きながら三好が眼鏡屋を出てくる。
「おつかれ。でも良かった。やっと眼鏡作れて」
「おう。良かった良かった。今日前田が起こしてくれたおかげだな」
そう言ってにっこりと微笑む三好。
「ん、いえいえ」
ちょっと色々と問題ある起こし方だったけどね。
朝のことを思い出し苦笑いしながら俺はベンチから立ち上がった。
一瞬だけ、今の三好の笑顔に見とれてしまったな、と思いつつ。
「さーてと、まだ時間あるし、どこ行く?」
「本屋行きたいな、俺」
「言うと思ってたよ」
じゃ、行こっか、と歩き出す俺たちを、途中何人もの人々がわざわざ振り返って視線を向けていた。


[*前へ][次へ#]

3/58ページ

[戻る]


あきゅろす。
[小説ナビ|小説大賞]
無料HPエムペ!