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ハルノヒザシ

その後ギリギリセーフでバスに間に合い、どうにかこうにか町に来ることが出来た俺達は、まず、一番の目的を最初に片付けてしまおうと、眼鏡屋に入っていた。
「いらっしゃいませ。どのような眼鏡をお探しでしょう、か…」
そんな俺達にニコニコと笑いながらづいて来た若い女性店員が、三好を見た瞬間、一瞬動きを止めたのに俺は気付いてしまう。
無理もない。確かに今の三好は同性の俺から見てもずば抜けて、かっこいいから。
さらりとした黒髪を軽く耳にかけて、長い前髪をライトににわけて、その整った顔を出している三好は、本当私服とも合わせて今時の洒落たお兄さんという感じ。
大人っぽ過ぎて大学生にしか見えないし…。
コンタクトにすればという俺の言葉に、「あんな異物目に入れられるか」と顔をしかめる三好はいつも通りだけど。
「とってもお似合いですわ。お客様」
「あ、どうも…」
「こちらなんかも似合うと思いますわ」
俺を押し退けるようにして三好の隣に陣取り、あれやこれやと眼鏡を勧める女性店員の妙に熱っぽい声に、三好がやや困ったように答えるのを背中に聞きながら、俺は「前のとなるべく同じのがいい」という三好の願いを叶えるような眼鏡はないものかと、一人眼鏡屋の店内をぐるぐると歩き回った。

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あきゅろす。
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