ハルノヒザシ 4 ダダダダッと全速力で図書室の前を駆け抜ける。 図書室入りたかったのに…。 「コラァー図書室前を走るんじゃねぇ!!」 図書室から誰か、多分望月先輩の怒声が響き渡るが、俺に気づいた様子ではなかった。 この時俺は知らなかった。図書室奥の廊下の右の角は行き止まりになっていると。 外に出るドアが何時も鍵がかかっていると。 俺が気づいたのは右の角を曲がった次の一瞬 (ヤバっ…、行き止まりじゃん!) 後ろからは匂宮先輩の足音。 うわぁーどうしよう。この扉開かねー! 「残念デシタ♪ゲームオーバーだ」 ガチャガチャと扉を動かしていると、悠々と匂宮先輩が姿を現す。 げげっ、めちゃくちゃ楽しそう。怖いー。 「お前馬鹿?ここが行き止まりってことぐらい知ってんだろ。それとも誘ってくれてるとか?」 「あいにく、まだよく学校の事知らないもんで」 楽しそうに一歩一歩匂宮先輩が近付いて来る。 「ホントはお前じゃなくてもう片方の方に痛い目見せてやりたかったんだけどな。まぁこの際お前でもいいや。もう片方はまた今度だ」 こんな事始めてて俺はどうしていいかわからない。 よし一か八か、ギリギリまで近付いて来たら脇をすり抜けて逃げよう。 捕まったら俺は絶対に力じゃ敵わない。 一歩、二歩、よし!今だ! 俺はダダっとダッシュする。 「あっテメっ!」 スルリと匂宮先輩の傍をすり抜けそのまま逃げようとした瞬間 「う…わ…」 思いっきり足をはらわれよろけた瞬間押し倒された。そのまま匂宮先輩が馬乗りになる。 そう上手くはいかないか。 仕方ない、殴られよう。殴られるのは慣れている。 俺は観念して目を瞑る。 「もう片方の奴には手こずったがお前は馬鹿だな」 呆れたように匂宮先輩が言う。 わかってますよ、それくらい。 「俺が大人しく殴られたら、もう一人の方を追うのは止めて下さい」 最後に一言だけ俺は言った。 ああ、図書当番完全に遅刻だ。 その途端匂宮先輩はキョトンとした顔をする。 「誰が殴るなんて言った?」 …へ…? 「殴るんじゃねぇ犯すんだ」 そう言って匂宮先輩は俺のシャツのボタンを外しだす。 そうだ!そうだったよ!何で殴られると思ってたんだろ! 昨日言ってたじゃないか!! 冗談じゃない。そんな事は絶対にごめんた!! [*前へ][次へ#] [戻る] |