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ハルノヒザシ

ギッと、音を立ててベッドのスプリングが沈む。
「…?」
起き上がろうとした俺は、無言のまま枕元に、俺に背を向けて腰かけた三好の背中を見つめた。

「あのさぁ、前田…」
「なに…?三好」
「俺、見ちゃったよ」
お前は隠したかったかもしれないけど。
ぼそり、ぼそり、と後ろ向きのまま三好が言う。
「うん…」
予想はしていた。
俺はすぐ隠したつもりだったけど、後ろの席の三好には見られていたって何ら不思議ではない。
それより何よりまず俺の鞄を持って来てくれている時点で、俺の机の中を見ている可能性は高かったから。
「前田さぁ、知ってる?」
「…なにを?」
「お前寝てるときめちゃくちゃうなされてるのを」
昨日も、さっきも…。
「……嫌な、夢見てて…」
なるべく見た夢の内容は思い出さないようにしながら、俺は答える。
「あとさぁ、前田、頭痛くない?」
「あ、うん…ちょっと…」
後頭部がズキズキと熱を持ったように鈍く痛い。
「やっぱり。もろにぶつけたもんな」
ギシッと微かにスプリングを軋ませながら、三好が腰を捻って身体をこちらに向けた。
コブになってるな、と言いながら刺激しないように俺の頭をさする。

「ねぇ、前田」
「な、に、三好」
「お前は俺に言いたくないのかもしれないけど」
やっぱり、俺、お前が心配でたまらないよ。

そう言った三好は、少しだけ笑ってた。
でも、決してその顔は楽しそうなものではなくて
見てるこっちが痛々しくなるくらい。
悲しい悲しい笑顔を浮かべていた。

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