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ハルノヒザシ

振り向くと見覚えある夏の顔。久しぶりに私服みたな。
「三好先輩は?」
「今おいかけっこ中」
追いかけっこ?と聞き返す夏に俺は今日あった出来事をかいつまんで説明する。
「へぇ、やっぱいるよな。こんなとこじゃあ溜まっちゃう一方だしー、まぁ仕方ねーんじゃねぇの」
ちょ、何てこと言うのこの子は。俺はそんな子に育てた覚えはありませんよ。
「まぁ兄貴な手を出したら俺が半殺しにするけど」
「物騒だな、喧嘩は止めろって言ってんだろ。俺が昔から何回謝りに言ったと思ってるんだよ」
「大丈夫、バレないようにするから。しっかし久しぶりに兄貴のエプロン姿見たな」
俺はエプロンしてないと基本的に料理が出来ない。なんなんだろ、この性癖。
「ちょっと前まで何時も見てただろ」
調理が終わり俺がエプロンを外そうとすると夏が後ろからまとわり付いてきた。
何時からだろ、夏がこんなスキンシップ激しくなったの。
「ちょ、離せ、うっとおしい」
「いーじゃん。あー兄貴の匂いがする」
俺のうなじに顔を埋めるようにして、夏が俺の匂いを嗅ぐ。
やーめーろーや。馬鹿夏。
こんなキッチンで弟に抱きしめられていったいなんなんだろ俺って。
「離せったら、ほら、朝作っておいたプリンやるから」
「んー後で食べる」
そう言うと夏はフワッと俺を抱き上げた。
そのままふんわりと床に押し倒される。
えっ…夏…?
「相変わらず軽いね、兄貴」
俺を見下ろす夏の瞳がいつもと違う。

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