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ハルノヒザシ

ピーンポーン
ものすごく迷った後、ドキドキしながらインターホンを押した。
室内からガタガタと足音がする。
誰か、は居るようだ。
ガチャリ、とドアノブがまわる。

「……は?…」
「あ、こんにちは…」

部屋から出てきた匂宮先輩は、ドアの前に立ってる俺を見て思いっきり怪訝そうな顔をした。
そのままジーっと俺を見下ろしたあと、キョロキョロと視線を左右に移す。
「…一人?」
「はい」
「…何?」
「あ、えっと…」
「入れよ」
俺が答えるより早く、匂宮先輩がくいっと顎で部屋の中を示した。
そしてそのままスタスタと中に戻って行ってしまう。
「あ、お邪魔します」
俺は慌てて閉まりそうになったドアを押さえ、後に続いた。
「鍵閉めろ」
「あ、はい」
カチャンと鍵を閉め、靴を脱ぐ。
パタパタと匂宮先輩に続いてリビングに入ると、同室の望月先輩の姿は無かった。
テスト週間で部活停止してるから、部活では無いんだろうな、と俺は勝手にその理由を予測する。

「で、何の用?」
ギッと椅子をひき、座りながら匂宮先輩がこっちを見ながら言う。
「えーっと、ですね。もし良かったら…
数学教えてほしくて…

と、言いながら俺は教科書を見せた。
何いきなり来ていってんだ、とばかりに注がれる匂宮先輩の視線が痛い。
うう…、やっぱ止めとけば良かったかな…。俺邪魔だったかも…。
俺が思いっきり不安に感じていると

「座れよ」

と、匂宮先輩が一言言った。


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