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ハルノヒザシ

「げっ、二三…」
「何にしてんだよ、お前、鍵取りに行ったと思ってたのに。早く来い。篠原がキレんぞ」
後ろにいたのは…何回かあったことはあるけど名前は知らない生徒会の人。
凜先輩が会計だから…、確か書記の人だ。「ちょっと待てよ、これ終わってから…」
俺の教科書を指しながら言う凜先輩。
「別に俺はいいけど。後でキレた篠原の始末はまかす」
淡々とした、余り感情が込もってない抑揚に乏しいその人の声。
「…くっ…、嫌だ。すまん、前田…。」
また、今度な、と凜先輩がペンと教科書を俺に返した。
「いえ、俺の方こそ無理言ってすみませんでした」
「本当、悪いな…。おい、行くぞ二三」
「言われなくても」
ふみ、と呼ばれた書記の人と去って行ってしまう凜先輩。
俺は引き留めて悪いことをしたな、と申し訳ない気持ちになりながら二人の背中を見送る。
「あ、そうだー、前田ー!」
その背中が曲がり角を曲がろうとした時、思い出したように凜先輩が振り返った。

「匂宮なら教えてくれんじゃねーのー?」
アイツ性格悪いけど頭はいーぜ。

それだけ叫ぶと凜先輩は行ってしまう。

匂宮、先輩、か…。
どうしよう、行ってみようかな?
俺は、ちょっとだけ首を傾げながら考えた後、元来た方向へと歩き始めた。

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あきゅろす。
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