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ハルノヒザシ

うわうわうわー!!

俺達が走り出すと先輩もノリノリで追いかけて来た。
しつこいなー、かなり。

「あそこ、の突き当たりで、別れんぞ、前田は、寮に、戻れっ!」
全力疾走しながら三好が途切れ途切れに喋る。
俺はこっくり頷き、次の瞬間三好と別れた。

匂宮先輩はやはり三好がターゲットらしくそちらを追って行ってしまう。まぁ三好なら平気だろう。
いってらっしゃーい。

俺は走るのを止め、言われた通り寮に戻ることにする。
昼飯作って待っててあげよう。


ガチャリと鍵を開け、部屋に戻る。
制服を脱ぎ、手を洗った後、カチッとガスコンロに火を付ける。よし昼飯はチャーハンとスープにしよう。

そう言えば、この部屋に俺しか居ないのは始めてだ。いつも三好といるもんな、とふと料理しながら気付いた。

三好には謎が多い。

俺に対しては最初から普通だったが、どことなくクラスの奴に恐れられている気がする。
そう、三好が一人でいるのではなく、周りが三好を遠ざけているような…。いや、勿論、三好自身が他人を拒んでいる節もあるけど。

俺が過去に知らない事が何かあったのだろうか?皆はそれの目撃者なのだろうか?

でも、三好はいいやつだ。だからみんなが何か三好の事を誤解しているんだったら…

そこまで考えた時、ガチャリと玄関が開く音が聞こえた。誰かが入って来る音がする。

「三好?大丈夫だったか?」
寝室兼リビングに入って来た人物に声をかける。
俺はキッチンに向かったままで顔はわからないが…。

「残念。俺です。えへへ、来ちゃった。」

何だ、夏か…。

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あきゅろす。
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