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ハルノヒザシ

ごくごくごく…
キンキンに冷えたジュースが喉を勢いよく流れ落ちて行く。
あー美味しい!
ぷはっと息をつきながら、俺は一度缶から口を離す。
「いーのみっぷりだな」
そんな俺を見ながら、横でニヤリと笑う望月先輩。
「美味しいです。ありがとうございます」
望月先輩の方を見ながら、再度俺はお礼を言った。
ふわりとシャンプーの匂いがする。
そう言えばお風呂上がりって言ってたっけ。
髪型もワックスをつけてないから、いつもと印象が違うし。
「そーいやさ、前田ネクタイ結べるようになったの?」
ぐーっとセブンアップを飲み干す望月先輩の横顔をみながらそんな事を思っていると反対サイドから、平野先輩に聞かれる。
「や、うーん。何とか…?」
出来るときと、出来ないときがあります…、と俺が自信無さげに答えると
ぎゅっと抱き締めるようにいきなり平野先輩の腕が前に回された。
「出来ない時はまた俺がこーやって結んであげるよ」
つつつ、と俺の首もとに平野先輩の指が滑る。
う、くすぐったい…。
ふっと力が抜けてしまい、落としそうになったジュースの缶を俺は慌てて握りしめた。
「俺の目の前で前田にセクハラかますとはいい度胸だな、平野」
「だってー望月が『前田は俺の』とかいうから妬けちゃって」
「俺の可愛い後輩って意味だよ、ばか」
軽く言い合う先輩二人に挟まれながら、帰ったらシャワー浴びないとな、などと考えつつ俺はこくこくとレモンジュースを飲み干した。

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